【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =039=

2018-05-27 06:06:26 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=  

  特別番外編  「しんかい6500」、震源域に潜る 

◇◆ その3  震源の海底で、地震に遭う =3/3= ◆◇

その後すぐに、お目当ての大きな微生物マットを見つける事ができた。そして、試料採取のために着底しようとした瞬間、再び船上から「潜航地点近くで地震発生。次の指示があるまで漂流状態キープ」という珍指令が来た。

どうやら今度は船上の管制も考えたようで「いつでも浮上できる態勢をとりつつも、調査が続行できる微妙な態勢をとれ」ということらしい。今度は笑いながら、「何か起きませんかねー、ワクワク」とボクらは窓の外を観察していた。チバさんは漂流しながらも、ちゃっかり潜水艇を操縦し、ベストポジションに誘導している。

そしてすぐに漂流待機指令は解除された。

いつのまにか海底を覆っていた濁りが晴れ、まるで呪縛から解き放たれたかのように、それからの調査・作業はうまくいった。そしてよく目を凝らして海底を観察すると、ボクは、水深3600mの海底とは思えないほどの多様な生物がそこにいることに気が付いた。

微生物マットが点在する海底の周りには、ユムシのような動物が泥の上を這いずり回っていた。昔の西部劇映画で砂漠をころころ転がる「ころころ草」(ニックネーム)のようなイソギンチャク、ブックブックにメタボ肥大化したナマコや泥の上に立つキャラウシナマコやセンジュナマコ。這いずり後をいっぱい残す巻き貝や小さな二枚貝。そして、悠然と泳ぐ丸々と太った錦鯉(ニックネーム)や超高速で「しんかい6500」に喧嘩を吹っ掛ける元気よすぎる雷魚(ニックネーム)。

水深3600mという栄養の乏しい深海では普段目にすることのほとんどない生物に満ち溢れた世界が、そこには広がっていた。科学的な結論を出すのは早いけれども、その場で観察したボクには、深海の生態系は暗黒の世界に訪れた「生の息吹」を謳歌しているとしか思えなかった。そしてその「生の息吹」をもたらしたモノ、それが、超巨大地震だったと思えるのだ。

7時間半の潜航が終わり、ボクは船上に戻ってきた。潜航終了後はやるべき仕事が満載だったので、特に潜航についてじっくり振り返る余裕はなかった。

しかし、しばらくたって振り返ると、今回の潜航はボクにとってはとても奇妙な体験だったと思う。潜航する前、すこし不安に感じていた深海底での地震との遭遇。実際「しんかい6500」の中にいたボクらには、その揺れや海底の変化はまるで感じられなかった。でも地震との遭遇は、暗黒の深海底の生命の営みの本質が、地球の活動と強く結び付いているという感覚を強烈に呼び覚ましてくれた。

科学的な現象としての地震による「生態系の破壊と創造」は、今回の潜航を初めとする調査研究での観察、得られた試料やデータの解析と解釈から、近い将来、それを明確に示すことができるだろう。

ボクの深海底での奇妙な体験は、地震や深海熱水という現象が「活動する地球の吐息」のようなものであることを再び強く感じさせてくれた。そして何故か分からないけれど、地球が内包する巨大なエネルギーが、「破壊と創造」という二面性を有するというよりは、むしろこの惑星の隅々にいたる自分も含めたありとあらゆる命を優しく包み込んでいるような、これまでにない感覚を与えてくれた。

おそらくそれは、余震さめやらぬあの東北地方太平洋沖地震の震源域の海底に、「しんかい6500」のチタン一枚隔てた「ナマナマしい現場」にボクがいられたからこそ感じることができた感覚だったかもしれない。

地球最後のフロンティア“深海”― 光届かぬ世界「しんかい6500」で行く (1/5)=

「しんかい6500」母港に戻る

「本当に真っ暗なんです。黒の質が違う。漆黒の黒です。けれども、その中で発光生物が無数にキラキラしていて。船体に当たって、はじけ飛んだり、いろんな動きをしたり。それが目の前、数センチ先で見えた。本当に感動しました」─。日本の有人潜水調査船「しんかい6500」を操るパイロットは、初めて見た深海の世界をそう表現した。水深200メートル以上の「深海」は実に海の98%を占め、地球全体の海の深さは平均3800メートル…。そういう数字を並べると、海の大部分は深海だと分かる。なんだか、すごくないか。光が全く届かない地球最後のフロンティア。今回は「しんかい6500」の案内で、その深海を3本の動画と共に旅しよう。(Yahoo!ニュース 特集編集部)

「しんかい6500」は国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)の所属で、1991年から潜航調査を開始した。文字通り6500メートルの深さまで潜航でき、海底資源や地質、深海生物などの調査を行う。同等の潜航性能を持つ有人潜水調査船は、世界でわずか7隻しかない。

母港は神奈川県の横須賀。毎年夏から秋ごろ、メンテナンスのために母港へ戻ってくる。この取材の動画撮影も今年8月、沖縄海域から横須賀に戻ったところから始まった。「しんかい6500」はどんな船なのだろう。乗り込む研究者らは、船内でどう過ごし、どんな調査活動を続けるのだろう。そして、見たものは―。まずは最初の動画(約9分)を見てほしい。

動画:“しんかい6500” 1/3 : https://youtu.be/46MJUWBWikQ

・・・・・・・・つづく・・・・・・・

動画 : 「海」はどのくらい深い?  https://youtu.be/frsbVtjCWeo  

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/633764f1b29d2d021d124cd0d3239792

後節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/0ca35d31a7f5babbfdae066ed42a7765

----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------

【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com

【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/

下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行

================================================

  

・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

================================================

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 未知なる深海へ 高井 研 =038= | トップ | 未知なる深海へ 高井 研 =040= »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

浪漫紀行・漫遊之譜」カテゴリの最新記事